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有機結晶部会の紹介

有機結晶は、有機化合物の固体・結晶状態における構造と物性および反応に関する学理を追究する、基礎化学の重要な研究分野の一つです。結晶構造およびその結晶を構成する分子の構造に関する知見をもとに、結晶中にはたらく分子間相互作用を理解したうえで、規則的配列を利用した固相化学反応、包接結晶形成に基づく分子認識と反応場の提供、分子集合様式の合理的制御による機能発現など、有機結晶ならではの反応や物性および機能へと展開する研究が活発に行われています。

イメージングプレートやCCDなどの二次元検出器を搭載した迅速X線構造解析装置とユーサーフレンドリーな構造解析ソフトウェアの普及、極微小結晶の回折実験ための放射光実験施設の稼働、粉末結晶のX線回折パターンからの構造決定法の発展など、結晶構造を明らかにする実験手法の著しい進展によって、かつては知ることができなかった結晶および分子構造の把握がかなり容易になった今日、有機結晶研究はよりいっそう重要視されています。有機結晶研究に関わる研究者人口の増加とともに、その守備範囲も、創薬や機能性材料の開発を目指した応用研究、結晶にとどまらず液晶や薄膜などの低次元性集合体、計算化学的手法を援用した結晶構造予測など、一層の広がりを見せています。このように、有機結晶研究の手法と成果は化学の広い分野に対して学術的なインパクトを与えるとともに、さまざまな工業・産業に対しても重要な基盤技術を提供しています。

このような背景のもと、有機結晶部会は日本化学会の第5番目の部会として1997年(平成9年)に「バイオテクノロジー部会」とともに発足し、2017年(平成29年)をもって20周年を迎えました。本部会は、「有機結晶」を切り口として、結晶にとどまらず非晶質におよぶ広範な凝集体について、構造・合成・物性・機能・計測・理論などに関わる学理を明らかにし、化学の発展に寄与することを目指します。日本化学会における有機結晶に関する企画等の運営の他、有機結晶シンポジウムを含む研究討論の場の提供、優秀講演賞授与による若手人材育成、ニュースレターを通じた研究成果の発信が、本部会の主な活動です。

本部会が主催する有機結晶シンポジウムは年1回(おもに秋季)に開催されます。有機結晶の構造・物性・機能・反応・動的分子挙動等をはじめとした有機固体全般を討論主題として、口頭発表とポスター発表を受け付けています。本部会の部会員は、有機結晶シンポジウムに部会員向けの登録料で参加することができます。シンポジウムの口頭発表では、分科会にあえて分けず、有機化学から物理化学、材料科学などさまざまな専門分野の全員が一堂に会して発表および質疑を行うことで、緊張感のある議論の場を提供しています。また、優秀な口頭およびポスター発表を行った大学院生および若手研究者に対して優秀賞を授与し、若手人材育成を意図した顕彰を行っています。このほか、部会が共催・後援するさまざまな講演会・セミナーを随時開催し、有機結晶研究の最先端を発信するとともに、研究手法の普及にも努めています。

本部会の情報誌として、年2回(春季と秋季)ニュースレターが発行され、部会員の皆様のお手元にお届けします。本部会からのお知らせとともに、有機結晶シンポジウム・日本化学会春季年会有機結晶部門のプログラム、有機結晶に関する特集記事、部会員からの成果報告や話題提供を掲載しています。

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